新型コロナウイルスが世界に広まって約8ヶ月程経ちましたが、WHOがこのウイルスの特効薬に関して新たな見解を示しました。
この内容や、今の時点で分かっている事などを簡単にまとめました。
最近のWHOの発言など
コロナウイルスの特効薬なし?
新型コロナウイルスに関しては、現在世界中でワクチンや特効薬の開発が急ピッチで進められています。
しかし、昨日、WHOのデドロス事務局長が、下記の様に発言しました。
「人々の感染を防ぐのに役立つ有効なワクチンを複数保有できればと、われわれは皆望んでいる」とした上で、「しかし現時点で特効薬はなく、今後もあり得ない可能性もある」と警告。
「今のところ感染拡大の阻止には、やはり公衆衛生および疾病管理の基本事項が重要だということになる」
ワクチンや特効薬の開発が始まって日も浅く、世界中で開発を進めている中でのこの発言は物議を呼びそうです。
影響は今後数十年に及ぶとの声明を発表
こちらは1日のデドロス事務局長の発言です。
「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」(PHEIC)の継続を確認する声明を発表した。
「パンデミック(世界的大流行)は100年に1度の危機だ。その影響は今後数十年に及ぶだろう」との認識を示した。
「最悪を脱したと思われた国々が、新たな感染拡大に直面している」と危機感を表明。
また、7/31にはこう発言しています。
「抗体検査の初期段階の結果は、世界人口の大半がウイルスに感染しやすいことを示している」として、集団免疫獲得には程遠い現状を報告。
今のところワクチンや特効薬が出来ていない上、抗体保有率も低い事から、今後も感染者が増える可能性が高そうです。
現在の世界の感染状況
アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学によると、日本時間3日の時点で、世界の感染者は1800万人を超えたそうです。
1700万人に達した7/30から僅か4日で100万人増え、未だに感染は拡大傾向であることを示しています。
国別の感染者数はアメリカで466万人、ブラジル273万人、インド180万人で、この3カ国で全体のほぼ半分を占めているそうです。
これまでに報道されている新型コロナウイルスに関する情報
これまでに報道されている新型コロナウイルスに関する情報をまとめてみました。
抗体は3ヶ月しか持たない
スペイン保健省は、同国の7万人を対象に3カ月にわたって3回の抗体検査を行った。1回目の抗体検査で陽性、つまり体に抗体ができていた被験者のうち14%は3回目で陰性となった。抗体は3カ月で減少することが判明した。
中国の重慶医科大学などの研究チームも6月半ば、同様の論文を発表している。
ロンドン大キングスカレッジによる感染者の追跡調査で「抗体の反応を継続的に確認したところ、平均して発症から3週間すぎにピークを迎えた後、急速に減退する傾向があった」
国内で初めて犬への感染を確認
ペット保険大手の「アニコムホールディングス」が昨日、新型コロナウイルスに感染した飼い主から預かった犬2匹がPCR検査の結果、陽性だったと発表しました。
同社は新型コロナウイルスに感染した2世帯から7月下旬、それぞれ1匹ずつを預かった。2匹は今月3日まで複数回実施したPCR検査で陽性となった。
2匹とも健康状態に異常はなく、1匹は既に陰性と変わっている。
他のペットや従業員も検査したがいずれも陰性で、体調不良もみられない。
同社は2匹を隔離し、世話を続けている。
ペットへの感染は他の国でも確認されていて、イタリアでペットの感染歴を調べる抗体検査で、陽性率が犬の3%、猫の4%だったとの報告もあります。
イタリアでは3~5月の調査では犬猫共に陽性率は0%だったとのことで、ペットの間でも感染が広がっていると言えそうです。
また、滋賀医科大学ではカニクイサルに新型コロナウイルスを感染させることに成功しています。
こちらは人に近い反応をするサルでワクチンや治療薬の有効性や安全性を確認するのが目的ですが、人以外でも感染する証拠の1つになりそうです。
軽症でも後遺症が残る
イタリアで行われた調査では、軽症患者でも長く後遺症に苦しめられている事例がある事が判明しています。
●軽症患者の半数に、1カ月後も味覚や嗅覚の異常
対象となったのは、新型コロナウイルス感染症の発症時点で味覚障害または嗅覚障害があった113人の軽症患者です。これらの患者の経過を4週間後まで追跡したところ、55人(49%)は味覚障害・嗅覚障害の症状が消失していましたが、症状は改善したものの持続していた患者が46人(41%)、症状が継続または悪化していた患者が12人(11%)いました。これらの症状の持続は、新型コロナウイルスの感染の持続とは関係していませんでした。
●入院した患者の9割が退院後も疲労感や呼吸困難に悩む
入院治療を受けて退院した患者143人について、18人(13%)はICUに入院、77人(54%)が酸素療法を受け、21人(15%)はマスク式の人工呼吸器を、7人(5%)は気管チューブや気管切開を介した人工呼吸器を使用。
発症から平均60.3日、退院から36.1日の時点で
・症状なしは18人(13%)、ありは125人(87%)
・症状は疲労感(53%)、呼吸困難(43%)、関節痛(27%)、胸痛(22%)など
・症状が1~2個は46人(32%)、3つ以上79人(55%)、生活の質の低下は63人(44%)
また、このような調査結果もあります。
中国鄭州大学などの研究者たちが、新型コロナウイルス感染症にかかり、退院した55人(軽症4人、中等症47人、重症4人)の患者について、退院3カ月後の胸部CT画像や肺機能を調査。
35人(64%)に、退院後3カ月の時点でも新型コロナウイルス感染に関連した症状が残っていました。
また、39人(71%)の胸部CT画像にさまざまな程度の異常が認められ、肺機能の異常も14人(25%)に見られました。
このような結果を受けて、日本でも厚生労働省や日本呼吸器学会も調査すると発表しています。
このように、まだまだ研究が始まったばかりでわからない事の多い新型コロナウイルス。
ワクチンや特効薬がない今は、マスク着用や手洗い、消毒やソーシャルディスタンスなど、基本的な予防法を地道に続けるしかないようです。
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