新型コロナウイルスの抗体検査の結果が発表されました。
検査結果と、検査結果から見えた今後の新型コロナウイルス対策について紹介します。
新型コロナウイルスの抗体検査とは?
まず最初に、抗体とは何か?について。
抗体とはウイルスや細菌が人体に入ってきた時、これに抵抗して身体を守ろうと働く物質の事で、ウイルスに感染すると症状の有無に関係なく体内で抗体が出来ます。
この抗体は血液を少量採って調べるとわかります。
今回の検査では海外企業のロシュ社とアボット社が製造する2種類の試薬を使い、両方が陽性だった場合のみ陽性と判定しました。
今回の抗体検査は、市中でどれくらい感染が広がっているかを調べたもので、今後ワクチン接種が必要な人数や第二波で感染する可能性がある人の数を予測するなど、感染防止策の大きな目安になります。
抗体検査の結果は?
今回の抗体検査は、感染者の多い地域の代表として東京と大阪、感染者の少ない地域の代表として宮城を選んで行われました。
その結果がこちらです↓
地域 | 感染率 | 検査人数 | 抗体保持者数 | 人口10万辺りの感染者数 |
東京 | 0.1% | 1,971人 | 2人 | 42.0人 |
大阪 | 0.17% | 2,970人 | 5人 | 20.7人 |
宮城 | 0.03% | 3,009人 | 1人 | 3.8人 |
人口10万人あたりの感染者数は東京の方が多いのですが、抗体保持者率は大阪の方が高い結果となりました。
ちなみにこれまでの感染者数から予測した感染率と、その誤差はこちらです。
地域 | 感染率 | 予測 | 誤差 |
東京 | 0.1% | 0.038% | 2.6倍 |
大阪 | 0.17% | 0.02% | 8.5倍 |
宮城 | 0.03% | 0.004% | 7.5倍 |
予想よりも感染者が多かったことから、実際の感染者数は確認されていたよりも多かったと思われます。
また、海外の抗体保有率は下記のとおりです。
国名 | 検査人数 | 感染率 |
アメリカ(NY) | 15,000人 | 12.3% |
ロシア | 4,845人 | 10.0% |
ドイツ | 1,000人 | 15.0% |
スウェーデン | 1,104人 | 7.3% |
イギリス | 885人 | 6.78% |
海外は感染者が多かったのもあってか、抗体保有率も高い数値でした。
具体的な人数をシュミレーションしてみました
%で見てもいまひとつピンとこなかったので、実際に何人くらいが抗体を持っているか(感染しているか)を計算してみました。
今回は、東京の0.1%で計算してみました。
地域 | 人口(人) | 予想感染者(人) |
福井 | 771.847 | 772 |
北海道 | 5,268,352 | 5,268 |
宮城 | 2,281,915 | 2,282 |
東京 | 13,189,049 | 13,189 |
神奈川 | 8,976,954 | 8,977 |
愛知 | 7,311,801 | 7,312 |
大阪 | 8,613,021 | 8,613 |
京都 | 2,494,923 | 2,495 |
広島 | 2,787,086 | 2,787 |
福岡 | 5,055,178 | 5,055 |
全国 | 124,776,364 | 124,776 |
0.1%と仮定した場合、福井県だと772人が既に感染しているという事になります。
確認されている感染者数が122人なので、確認されている人の約6倍超の感染者がいると言う事になります。
もしこれだけの人数が全て陽性と確認されていたら、医療崩壊していたかもしれません。
抗体検査の結果から見える懸念は?
今回の抗体検査では、新型コロナウイルスは世間で言われているほどには広がっていなかったと言えます。
日本はPCR検査数が少ない上だけでなく、海外と比べての感染者の数が少なかったため、実際よりも多くの感染者がいるのではないかとの懸念が強くありました。
海外のメディアも、日本は検査数を減らして感染者を意図的に少なく見せていると批判していました。
しかし、今回の結果と死者の数から、日本での感染は海外ほど広まっていないと言えそうです。
しかし、ここで気をつけるべきは、「感染が広まっていない=第二波がくるとまた感染者が急増する可能性がある」ということ。
「抗体を持っている=過去に感染している」のですが、抗体がないという事は、第二波も第一波と同じくらい感染者が出る可能性がある、ということです。
今回、抗体保有率が高くても0.17%と言う事は、残り99%以上の人が抗体を持っていないという事になり、それはコロナが日本に入ってきた当初とほとんど変わりありません。
そうなれば、第二波、第三波が来た時、第一波と同じように一気に感染者が増える事になります。
医療体制が当初より改善されたとは言っても、まだワクチンや特効薬がない現状では油断できる要素が殆んどないとも言えます。
ワクチンが出来るまでは、今まで通り「感染しない行動をとる事」が重要です。
- 日本の抗体保有率は高い大阪でも0.17%
- 日本では99%以上の人が抗体を持っていない
- 第二波は第一波と同じくらい感染者急増の可能性大
- ワクチンや特効薬が出来るまでは油断禁物
「新しい生活様式」に沿って、予防を心がけた生活を送りましょう。
