先日、医療に従事している方から直接メッセージを頂きましたのでご紹介します。
医療関係の方からの切実な悲鳴
頂いたメッセージは下記の様な内容です。
差出人: 感染指定病院関係者(メルアドは削除しました)
題名: 追記依頼福井新聞ペーパー記事(4月14日)
新型コロナウイルス感染が明らかになった福井県立病院の当該看護師は20年以上のベテランで、陽性患者の看護にあたっており、病院側は聞き取りなどから『院外での感染を疑う情報は得ていない』と強調。感染者の増加を受け、陽性患者を別病棟に移動させる準備や後片付けの作業も行った1日、3日に感染した可能性が高いとみている。患者移動前後で感染か
感染者の急増で、感染症病棟がほぼ満杯になったことから病院は2日、これまでの倍となる20床が確保できる一般病棟に入院中の陽性患者を移動させた。当該看護師は2日の移送には関わっていないが、この前後の1日、3日は通常の看護業務に加え移動の準備や後片付けなどの作業に携わっており、感染症病棟に長時間滞在していた。
橋爪泰夫院長は、当該看護師が防護服などの脱着時に汚染されている外側を触ってしまい、手などにウイルスが付着して感染した可能性を指摘。
『コロナ対応に配置されている看護師の業務がかなり増え、業務過多も背景にある』と認めた。以上 長文ですが、医療従事者の名誉のためにも目立つように記載して下さい。
医療の現場にいらっしゃる方から、病院内の過酷な環境と差別や偏見を訴える切実なお声です。
医療関係者がおかれている現状は?
医療現場の過酷さは、先日の福井新聞でも掲載されていて、SNS上でも広く拡散されていました。
福井新聞の記事はこちら↓
看護師「覚悟と感染の恐怖」の最前線~福井、新型コロナ過酷な医療現場
福井でコロナ対応医療者への偏見深刻~周囲から「近寄らないで」、県医師会が会見
コロナ担当看護師、心身ともぎりぎり-職場で涙、原動力は「患者さんの回復」<2020.4.21追加>
下は感染症医療機関の現状です。
- 感染症を扱う医療従事者への風評被害が深刻化
- 危険を伴う為勤務中は細心の注意と緊張を長時間強いられる
- 感染リスクを考えれば、一般と感染病棟の看護師を固定した方がいいのは分かるが精神的に難しい
- コロナで急激な患者の増加がみられ、精神的、体力的にものすごい負担がある
- 物資が既に不足している、又は不足の不安がある
- 院内感染が広がれば診療そのものが止まり医療崩壊を招く
- コロナ以外の治療や手術が後回しにされている
また、医師や看護師さんなど従事者の現状はこちらです。
- ウイルスを通しにくいN95マスクは息苦しく頭痛を伴う事もあり、痛み止めを飲み勤務する看護師もいる
- 防護服は暑さで体力が奪われるが、感染リスクが高まる着脱の回数を減らすため、数時間着続けることもある
- 感染者担当看護師は自分が感染したり、発熱したりする夢を見る人も…
- 家族への感染を恐れ、帰宅を悩む人もいる
- 子どもを実家に預けている人もいる
- 周りの人に「近寄らないで」と避けられる
- 家族からも「帰ってこないで」と言われる
- 病棟でも疲れ、家に帰っても心身を癒やせない
- 看護師の家族が職場で出勤を拒まれ、感染症病床の業務から離脱せざるを得なくなった
- 新人看護師167人は、卒業式も級友とのお別れも出来ないまま、コロナウイルスとの戦いの最前線に投入された
- 新人看護師にも周囲から配慮のない声が届いている
- 万が一に備えマスクをして1人で寝る。食事も洗濯もトイレも別
- 心ない暴言を吐かれて、何のために頑張っているのか…と仕事を続ける意義を見失いそう
- 病院によっては耐えきれずにリタイアした人もいる
これらはほんの一部で、実際にはもっと酷い言動があったと推測されます。
実際、SNS上でも医療関係者の方の憤りを見る事が多々あります。
自治体からも声が上がるほどの酷い現状
福井県の杉本知事や連日会見をしている健康保険部の方々も、会見で繰り返し医療現場の過酷さや恐怖・不安と闘いながら未知のウイルスに対処している医療関係者への差別・偏見を行わない様に訴えています。
連日福井県の会見を見ていますが、ここ数日は医療従事者や感染者、感染者に関わる方々への偏見や差別をしない様にお願いする時間が長くなりつつあります。
そして、日に日に切実さが増しています。
杉本知事は昨夜のニュースウオッチ9に出演していましたが、そこでも医療関係者への偏見や差別について言及していました。
実際に会議などで医療関係者や保健所の関係者と顔を合わせている知事や健康保険課の方々の元には、この手の話が多数上がっているものと思われます。
病院はコロナの患者だけ看ている訳ではない
県立病院の医院長は、指定病院だからと何でも押し付けられても対応出来ないと苦渋の表情で仰いました。
その通りだと思います。
感染症指定病院が扱っているのは、コロナ感染者だけではありません。
コロナ以外の病気の患者も受け入れているのです。
感染症指定病院は、他の医院や診療所が出来ない難しい治療を請け負い、重篤な患者さんも受け入れています。
それらの治療もしながら、コロナの対応も…となれば、どれほどの負担でしょう。
このままではコロナだけでなく、がんやその他の病気の治療もままならなくなります。
実際、抗がん剤の治療や急を要しない手術の延期が始まっています。
県立病院では感染者が出たため10日間、外来の受診を休止していますが、それは受診が延期になった患者さんがいるという事なのです。
コロナ感染者は一般の患者の4倍手間がかかる
しかもコロナウイルス感染者は、通常の患者の4倍の人手と機材が必要です。
今、県内では70人ほどが入院していますが、実際には280人の相手をしているも同然、とも言えるでしょう。
現在、とある感染症医療機関の話では、感染症を扱う看護師の負担は通常の2倍だそうです。
もしかすると、それ以外でも必要な業務が重なって、4倍では済まないかもしれません。
自分が感染しない様に、そして患者が感染しない様にと、勤務中は気を抜く暇もないでしょう。
防護服の着脱が大変な上、その防護服などの資材不足もあるため、食事も我慢して長時間働き続ける人もいるそうです。
某感染症医療機関では、資材の残りが少なくなりつつあり、残り1週間分ほどしかないそうです。
万が一資材が尽きれば、休診するしかないと強い危機感を感じています。
また、人手が足りないからと言って、直ぐに増やせるものでもありません。
誰でも感染症患者を看れる訳ではないので、増員すればOKとはなりません。
県立病院では防護服の着脱だけでも、最低でも3回の研修を行っているそうです。
当然、それ以外の研修も必要でしょうし、現状では研修などしている暇もないでしょう。
誰だって感染したくて感染した訳じゃない
どんなに対策をしても、それでも感染してしまう時はしてしまいます。
だってウイルスは目に見えないから。
誰も感染したくて感染している訳ではありません。
感染した人も、感染した人を看る医療関係の皆さんも、被害者であり、未知のウイルスと闘っているのです。
それを後ろから撃つような行為が、医療従事者や感染者とその関係者を傷つけています。
医療崩壊は病床が足りなくなる事ではない、医療関係者が頑張れなくなる事だとの声を見かけましたが、その通りだと思います。
もし差別や偏見で医療関係者が心身を病み、退職者が続出したら、誰が病人を看てくれるのでしょうか?
医療関係者の皆さんだって、好き好んでコロナの対応をしている訳ではありません。
自分自身や家族の危険を承知の上で、そこに突っ込む人はいないでしょう。
差別や偏見は医療崩壊の始まり。既に崩壊は静かに始まっている
現場からの声は切実です。
ほんの一部ですが、現場の声を紹介します。
「あなたの守りたい人は誰ですか?」新型コロナと闘う医療者がいま、伝えたいこと
↑はほんの一部ですが、医療関係者の声とおかれた現状です。
今この瞬間も私達のためにコロナと闘っている方々がいます。
差別や偏見、心ない言葉よりも、励ましや感謝をお願いします。
日本赤十字社のコロナウイルスの3つの顔
日本赤十字社でも、職員への差別や偏見に強い懸念を感じ、わかりやすく絵で解説したページを作りました。
新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~
↓は上の記事で使われている絵の一部です。


怖いのはウイルスだけではなく、その後に生まれる不安や差別で、それらがまた感染を広げる事がわかる絵ですね。
「人間の生命は尊重されなければならないし、苦しんでいる者は、敵味方の別なく救われなければならない」という精神の赤十字でさえ、この様なページを作らなければならないほど、現場は苦しんでいます。
コロナウイルスの終息は数年ごとの声も…
まだまだコロナウイルスの終息は見えません。
まだこの世に現れたばかりのこのウイルスに対しての専門家の意見は分かれていますが、終息まで2~3年かかると言われています。
感染症は、人類の8割の人が感染しないと終わらないとも聞きます。
その考えが本当なら、私達もいずれは感染するのでしょう。
数週間後、週ヶ月後、数年後には自分が感染する可能性だってあります。
ワクチンが出来れば今よりは症状は軽くなるかもしれませんが、毎年秋になると予防接種が賑わうインフルエンザですら、2018年・2019年には年間3000人ほどが亡くなっています。
インフルエンザを消し去る事が出来なくなった様に、世界中に広がったコロナウイルスの撲滅は難しいでしょうし、出来るとしてもかなりの長い時間がかかるでしょう。
既にコロナウイルス感染は、明日は我が身なのです。
医療関係者や感染者を差別し偏見を持ったとして、いずれ私達もかかるかもしれないのです。
そしてその時にお世話になるのは、医療に従事している方々です。
医療関係者の皆さんへ、心ない言動を励ましや感謝に変えていきましょう。
海外では、時間を決めて医療従事者を励ます為の「クラップ・フォー・ケアラーズ(医療従事者らへの拍手を)」が広がっています。
また、日本でもスカイツリーのライトアップ等で医療従事者を励まそうとの行動が始まっています。
どうか差別や偏見よりも、感謝や励ましの拍手をお願いします。
<情報を下さった方へ>
今回、返信を記事の掲載とさせて頂きましたが、いかがだったでしょうか?
お忙しいかと思いますが、お伝えしたい事が足りない様でしたらまたご連絡頂けると幸いです。
連日の過酷な業務に立ち向かっていらっしゃる皆様に、心よりの敬意と感謝を表します。
皆さんは私達一般人にとっては、最後の砦であり希望でもあります。
この状況下では難しいとは思いますが、どうか心身ともにご自愛ください。
微力ではありますが、私も感染拡大防止のための情報発信を続けて参ります。
他の医療関係者の方でも、ご希望があれば出来るだけ掲載します。
よろしければ現場の生の声をお聞かせ頂けると幸いです。
<個人的な事>
私事ですが、私の夫は医療関係者ではありませんが、仕事柄毎日病院に出入りしており、その中には感染症医療機関も入っています。
周りから大丈夫?と言われる事もあり、非常に心配している毎日です。
夫より看護師さん達現場の声を聞かされていますが、本当に大変そうで頭が下がります。
また、夫の同業他社の方は、家族の反対があり退職したとの話もありました。
直接医療現場にいない者ですら偏見や差別を受けています。
